KKPとはラーメンズの小林賢太郎が主催する演劇ユニット(小林賢太郎プロデュースの略ですね)。この5回公演の「TAKEOFF~ライト三兄弟」は昨年本多劇場などで演じられて、大好評を得た芝居で、今回再演の全国ツアーが行われていたものです。運のよいことにチケットを入手。見てまいりました。ラーメンズと言えば、マックのCMで有名になりましたが(マックをやっているのが小林賢太郎、PCが片桐仁ですね)、熱狂的なファンが多く公演チケットはプラチナと呼ばれております。実は僕も実際の舞台で見るのはほぼ数年ぶりでした。ラーメンズの二人が繰り広げる観念的とも言える凝ったコントや寸劇と違い、「ライト三兄弟」は完全なお芝居です。上演時間は1時間40分とロビーに掲示されています。航空機マニアの旅行代理店社員が小林、自転車で日本一周をする自分探し青年がオレンヂ、そして家族を取り戻すために原寸大の飛行機模型を作ろうとする大工が久ヶ沢徹。それぞれの事情をはらみつつ、偶然発見したライト兄弟の設計図に基づいた飛行機の製作が進むというお話。そんな筋立てに特に目新しいところはないのですが。アドリブも含めた(たぶん)3人のセリフのやりとりが絶妙です。狂言回しのオレンヂにスポットライトが当てられ、モノローグで場面転換を図るという演出はちょっと古い気もしますが、出演者3人のみの舞台としてはこれもあり、なのかな、と。途中、飛行機を組み立てる部分でストンプ風というのか、部品などの小道具を使ったリズムショーになるのですが、これが圧巻。ロザリオスの加藤隆志とのコラボが見事に成功してますね。あと、小林賢太郎初心者としてビックリしたのがカーテンコールでした。3回、いや4回あったのかな。観客が総立ちで、音楽に合わせて手を叩く。客席を見回すと、みんなこれ以上ないくらい楽しそうで。いや、なかなかなものを見せてもらいました。久ヶ沢さんが出てきただけで客席に笑いが起きたり、濃いコアなファンが多いせいでちょっと引く部分もあったんですが、それもすべてチャラですね。あそこまで観客を巻き込める脚本家・演出家・俳優はきょうび、そう居ないでしょう。最後にスクーターの部品の金属円盤に3人がサインをして客席にフリズビーみたく投げ込むとか、サービス精神も旺盛です。何より、演者と観客がこの舞台を楽しんでいる空気が劇場全体を包み込んでいる感じが最高でした。
ちなみに、僕の席のそばでラーメンズの片桐仁さんが見てましたよ。