実は、年末年始のいちばんの読書がこの作品でした。新井英樹作「真説 ザ・ワールド・イズ・マイン」全5巻。1997年から2001年まで、週刊ヤングサンデーに連載、小学館から単行本全14巻が発売されていたのに、すぐに絶版になった作品。その大幅加筆・修正ヴァージョンが昨年エンターブレインから出版された訳です。1巻の厚さが4センチから5センチはある分厚さです。お恥ずかしい話しながら、当時は何も知らなかった、俺。ヤンサンは完全に守備範囲外でしたから…。映画化とかされた「殺し屋1」は知っていても、「ワールドイズマイン」は知らなかった。それを今回読んだ訳です。いや、でもね。まっさらな状態で読めて本当によかった。中途半端に連載で知ってたとかじゃなくて。完全にすべてのストーリーとビジュアルと情報が僕の脳みそにストレートに飛び込んできて。これは貴重な体験でした。ストーリーとかはWikipediaとかで知っていただくとして。まあなによりも、邪悪な殺人・傷害・暴力をリアルに描いた作品なので、そっち方向がダメな方にはおすすめできないんですけど…。ほとんど10年前に、こんな作品を書いていたとは新井英樹恐るべしです。なにしろ、9/11テロすら起こっていなかった時代に、世界同時多発テロを思いつくなんてね。さらに、ヒグマドン。ありゃ何だったんだろう。想像を超えた想像力つーことだなー。今回の再刊にあたっては、各巻の腰巻に深作欣二、呉智英、岩井俊二、松尾スズキ、庵野秀明といった方々からの賛辞が惜しげもなく散りばめられております。そのへんは本屋などでご覧になっていただくとしましょう。
この人たちと並んで推薦文を書いているのが映画評論家の町山智浩さんなんですが、このマンガに引用されている映画作品についての解説をPodcastでやってくれてます。「
町山智浩のアメリカ映画特電」。映画「スカーフェイス」、「ナチュラル・ボーン・キラーズ」、「時計仕掛けのオレンジ」、「2001年宇宙の旅」、「タクシードライバー」、小説「檸檬」、「十九歳の地図」、「世界の中心で愛を叫んだけもの」、とまあこれだけの作品との関連を語っておられます。相当参考になるので、興味のある方はぜひ聞いてみてください!