「どれくらいの愛情」を読んで感じるところがあったので、文庫を購入して再読してみました。白石一文さんのデビュー作にあたる本書は2000年初頭の出版。6年以上前にこれだけ完成度の高い長編を書いていた白石さんには感服するばかりです。改めて読み直して、さらに感じる部分も多かったです。デビュー以来6年余、数多くの作品を生み出している白石さんですが、その内包する要素のすべて(じゃないな、ほとんどかな)がこのデビュー作に盛り込まれていたことにも驚嘆しています。オカルト的な出来事も、投げやりだけれどエロティックな性的描写も、古典からの有効な引用も、実在する企業などの固有名詞を駆使するスタイルも、主人公が美男美女ばかりなのも、みんなみいんな、最初からのことだったのですよね。素晴らしいなあ。また、6、7年したら読み直したい小説ですね。