ゲーム・デザイナー。三角関係。東京のおしゃれスポット。会社のっとり。こんなキーワードを石田衣良というブラックボックスに突っ込んで、そこにちょいとSF的な味付けとポーノグラフィカルな展開を加えたら、こんな作品が出来ました。って感じですか。確かに石田衣良は才能のある作家だし、文章にも他の作家にない色気とスピードがある。のだが、最近の作品はちょいと筆が荒れたと言われてもしかたないのでは…。彼のポテンシャルが最高に発揮されるのは、ある程度完成された世界観の中でお馴染みのキャラクターによって繰り広げられる「IWGP」などの中篇か、都会生活の一部分をサラッと切り取った「スローグッドバイ」のような短編集なのだろうな。おしゃれ度も中くらい、ストーリー性も中くらい、描かれる世界(ゲームデザイン)も中くらい、エロさも中くらい、キャラクターの魅力も中くらい。というのがこの本。これじゃファンにも見放されちゃうよ。