イサム・ノグチと言えば、超が付くくらい有名な日系アメリカ人アーティストである。あのAKARIと題された和紙と竹によるライトで知っている人が多いだろう。その「イサム・ノグチ展」を見に、東京都現代美術館へ。休日なので大混雑である。サブタイトルに「彫刻から空間デザインへ~その無限の創造力」とあるように、イサム・ノグチは本来、石を素材とした彫刻家であるのだが、
その守備範囲は舞台美術、陶芸、照明デザインと広がっていったのだ。彼のデザイン心は庭園や空間デザインにも及び、札幌のモエレ沼公園のグランド・デザインはすべてイサムが手がけたものだ。今回の目玉は、エナジー・ヴォイドと名付けられた巨大な石彫。17トンもあるという花崗岩製のこれは、香川県の牟礼にあるイサム・ノグチ庭園美術館に収蔵されるもので、門外不出とされてきたのだが、今回初めて表に出た。イサム・ノグチ作品の魅力は、単純かつ抽象的でありながら、
どこか楽しさを秘めているところだ。その辺り、師匠筋に当たるブランクーシの精神を引き継いでいると言えなくもないかも。時間を忘れてボーッと出来るのが、こうした美術展のいいところ。出来うるならば、開催中にもう一度、平日に行ってみたいもんだなあ。