
「雨にぬれても」の素晴らしさに感激して、上原隆の著作をほとんど購入した(ただし「上野千鶴子なんかこわくない」以外)。その中から、短編ノンフィクションのスタートともなった「友がみな我よりえらく見える日は」をようやく読了。上原隆という人は映像制作会社に勤めながら「思想の科学」などに短い文章を書いてきたらしい。その一部を含めて単行本化されたのが本書で、彼の目指す(たぶんボブ・グリーンのような)コラムのスタート地点とも言えるだろう。確かに初期作品らしく、じぶんの同級生が登場したり、取材相手との会話がそのまま書かれたり、時には小説のような三人称だったりと、手法も一定しない。しかし、全体を通してなんだか一つの薫りを持った文章であって引き込まれてしまうのだ。「別れた男たち」「離婚」「父子家庭」などは妻に去られたオトコの物語だし、その他の作品も社会性とか家族などを欠落した人が扱われている。「雨にぬれても」がごく普通の人々を描いたのに比べて、少し対象選びのスタンスが違うのだが、こんなスタートがあってこそ、現在の上原がいるということを十分に感じさせてくれた。やはり面白いのが芥川賞を受賞しながら現在は筆を折りほとんど世捨て人のように暮らす東峰夫を書いた「芥川賞作家」だった。あとがきは村上龍なのだが、サラリと「この本から2つのエピソードをじぶんの小説に使わせてもらった」などと書いていて、「おいおい、それってパクリじゃないの」と思ったのは僕だけだろうか。