今朝の新聞に訃報が載っている。「草野昌一さん膵臓がんで死去。74歳。シンコーミュージック・エンタテイメント会長」、とこれだけでは単に音楽関係会社の経営者が亡くなっただけのようだが、よく読むと…。「漣(さざなみ)健児の筆名で多くのアメリカンポップスの訳詞を手掛けた訳詞家」とある。漣健児と言えば、1960年代にアメリカン・ポップスを分かりやすい日本語に約して多くの歌手に歌わせ、カバー・ポップスの流行を仕掛けた人なのだ。坂本九のデビュー曲である「ステキなタイミング」に始まり、「ルイジアナ・ママ」、「ヴァケーション」、「
「可愛いベイビー」、「砂に消えた涙」、「赤鼻のトナカイ」、「恋はみずいろ」など生涯で手がけた訳詞は400を越えている。年配の方はメチャクチャ懐かしいはずだし、若い人間でも音楽好きならどこかで耳にした歌詞ばかりだと思う。もともと「ミュージック・ライフ」という洋楽専門誌の初代編集長で海外のポップス紹介を行なっていたのが、日本の歌手のために訳詞を始めたということのようだ。漣さんによる、アメリカの8ビートと日本語詞の融合は、その後の日本のポピュラーソングの成立に大きく影響を与えたと言われている。合掌。