この年末年始は、休みが短かったので、飲んだり、映画見たり、ライブに行くのに忙しくて、あまり本が読めませんでした。その中で、集中的に読んだのが、白川道作品。もともと、デビュー作から好きだったのですが、このところちょっと離れてました。「最も遠い銀河」は、この夏に出た新刊。結構な長さのハードカバー上下巻です。ストーリーとモチーフは至極ストレート。成功を手に入れつつある若手の建築設計家の不良時代の過去をめぐるあれやこれや、ってことです。過去に愛した女性。その死と裏にひそむ事情。そして彼女を密かに埋葬した場所。過去に数回すれ違った印象的な女性。過去に兄弟とも誓いあった男。生き抜くために利用した恩師の妻。そして恩師との確執。偶然知り合った美女との不思議な因縁。などなどなど・・・。白川作品ならではのパーツが満載ですね。結構時間がかかりましたが、いやあ、面白かったです。結末まで含めて、まさに白川道。作者のことを知らずに、初めてこの作品を読んだ人は、なんだ単純な娯楽長編じゃん、とか、エンターテイメントにしてもご都合主義が過ぎるんじゃないの、とか思うでしょうけど、それが白川作品の面白さですからね。だって、テレ東の「湯けむりスナイパー」を、こんなのリアルじゃない! なんてケナすことに何の意味があるかってことですよ。てな訳で、年末に長時間を費やしたこの本、本当に楽しかったです。
そして、もうひとつ。「竜の道」も秋に出版された、白川道さんの最新作ですね。こっちの方がよりピカレスクロマン臭が強くなってます。何しろ、最初から犯罪ばかりですもん。親は殺すは、見ず知らずの他人を殺して戸籍を奪うは、やりたい放題。しかも、舞台が兜町だから、相当白川さんご本人の経験も生きてると思いますよ。まだ、1巻しか出ていないので、どこまで続くのか楽しみです。という風に、小説的には白川道づくしの年末年始でした。