お気に入りの上野・東京国立博物館へ。最近僕のまわりでもファンが増えている伊藤若冲の作品を中心として特別展、
プライスコレクション「若冲と江戸絵画」展がお目当てです。カリフォルニアの美術コレクター、ジョー・プライスさんは江戸時代の個性的な画家たちの作品を中心に600点以上を収集しています。そのコレクションは若冲を中心に、長沢芦雪や、酒井抱一、鈴木其一、円山応挙にも及んでいます。伊藤若冲といえば、墨絵も有名ですが、何といっても極彩色で描かれた細密な動 植綵絵ですね。特に今回ポスターなどに使われている「紫陽花双鶏図」(右上)は圧巻。ガラス越しとは言え間近に見ると、鶏冠の辺りの描きこみ具合は尋常ではありません(中左)。文字通り、鳥肌が立つ思いで、しばらくの間その場を離れることが出来ませんでした。今回は厳選された100点余を「正統派絵画」、「京の画家」、「エキセントリック」、「江戸の画家」、「江戸琳派」の5つの章に分けて展示しています。「エキセントリック」のところでは、若冲をたっぷり堪能することができます。しかし、もっともっと素晴らしいのが順路の最後に設けられた特別展示室でした。プライスさんは「江戸時代にガラスケースはなかった」が持論。しかも、江戸絵画鑑賞には光のはたす役割が大きいという考えだそうです。その意向を最大限に取り入れて、特別展示室はお客と作品の間に
「ガラスはなし、しかも時々刻々移り変わる照明の中で、さまざまな表情をあらわす作品たちと向かい合うことができるのです。いやこれが凄い。山口素絢の「夏冬白鷺図屏風」なんて、銀箔の上に鷺が描かれているんですが、右からは飛び立つ様子、左側では雪の中に凍えている。そんな対照的な風景が一双の屏風になっていて。しかも、印刷では絶対に表現不可能な銀箔地ですから(一番下)。実際に目で見るしかない訳ですね。その他にも、照明の明暗で背景の金箔に雪が現れるものとか、いろいろあって。ホント、
今までに見たことのない展覧会でしたよ。一般展示も、前回行った時から比べて改装されていて、おすすめですよ!