グリング主宰の作・演出家、青木豪の新作を紀伊国屋ホールに見に行ってきました。青木豪はテレビドラマを書いたリ、グローブ座でジャニーズの演出をしたり、最近売れっ子のひと。集客のためかな、杉田かおるを主演に据えて、高橋克実、マギー、段田安則、小松和重、池谷のぶえ、明星真由美、安田顕という小劇場系の役者を周りに配して、注目株の新作、とはさすがシスカンパニー北村プロデュース作品というのが見る前の第一印象でした。ストーリーですが…。舞台は寂れた動物園。私設も古び、動物たちも老いて、客入りも芳しくない。杉田かおる演じる子持ちでバツイチの飼育係と独身のまま50近くなった高橋克実の副園長は、なんとなく結婚を意識する間。マギー、小松、明星ら若手の飼育係も忍び寄るリストラに頭を悩ましている。この動物園で唯一といってもいい人気動物であるマレー獏の誕生日イベントの用意をしている中、突然訪ねてきたカメラマンが段田安則。彼は実は杉田の元亭主で…。てな感じで話は進んでいくのです。それぞれのちょっとした過去や悩みが少しずつ明らかになっていくという趣向。池谷のぶえは始終動物の飼い方に文句をつけにくるクレーマーの主婦を相変わらずの調子で怪演。TEAM NACS(「水曜どうでしょう」大泉洋で有名になった例の北海道の演劇ユニット)の安田顕がビデオ屋の店員で出てくるのだが、これが良かったです。まさに今どきのフリーターの言い回しを再現していて笑わせてくれるのだ。最終的には「いろいろあったけど結局…」という結末に至るのだけど、明らかに俳優の持ち味を意識してあて書きした脚本でしたね。しかも上演時間は1時間35分と短く、あっと言う間。
小劇場的な大仰な台詞まわしもなく、役者それぞれが自然体で演じるというスタイルなので、ある意味商業演劇的な印象が残ったお芝居でした。嫌いという訳でもないけど、僕好みではなかったかな。やはりもう少し、ひっかかりとか毒のある演劇が好きなんだよなぁ。