クールトラッシュ」は、薄手のカッパノベルスで、帯の惹句が「徹底してクールな主人公と、どこかファニーな悪党たちの闘いを痛快に描く、超娯楽小説!」というので、そう期待しないで読み出したら、止まらなかった。完全に犯罪者として生きる者たちが主人公のノワール。定職を持たず、名前も知らない同士で手を組み犯罪を行う。それは、パチンコ屋の換金場狙いの強奪だったり、資産家の家への盗みだったりするのだ。ともかく、戸梶の疾走感溢れる文体が素晴らしい。夕方からはじめて、メシとかをはさみながら、3時間くらいで読了。渡る世間の裏側で好き勝手に生きるアウトローたちの、滅茶苦茶な行動に惹きつけられて、ページをめくる手が止まらないのだ。おお、十分日本でもノワールは成立するな、と思わせる一作。エグい暴力描写も多いが、読ませる。