なかなか映画も見れてなかったのですが、タランティーノの「グラインドハウス」を2番館でやっているので無理くり行ってきました。噂は聞いてましたがね、いやもうサイコー! グラインドハウスというのは、1960年代、70年代あたりに全米のあちこちにあった、ちっぽけな映画館のことだそうで。ストリップショーの合間に映画も上映する感じの悪所というイメージですね。つまり「グラインド」は踊り子さんのグラインドな訳。で、そんなおんぼろ映画館で毎週数本立てで公開されていた、三流映画をリメイクしよう、と思い立ったのがタランティーノとロバート・ロドリゲスだったのです。うーん、いいアイデアだな。しかも、2本立ての映画だけでなく、実在しない映画の予告編やR指定映像なんかも作り上げる。当時のグラインドハウスでの上映形態そのままを1本の映画にしちゃう、という企て。上映時間が長すぎるために、残念ながら、日本では別々の公開になっちゃったけどね。おバカもここまでやり尽くせばホンモノだな。それにしてもハリウッドで大儲けしたタランティーノは桁違いですね。日本でも東映やくざ映画風とか日活ロマンポルノ風とか作ればいいんだけどね。貧乏たらしくやると情けなくなっちゃうんですよね。で、この映画。ストーリーといっても、あってなきが如し。「デス・プルーフ」という名の大排気量車を駆る元スタントマンのスタントマン・マイク(カート・ラッセル)が悪役の主人公。ウオーター・プルーフが防水なのに倣い、デス・プルーフとは死に耐えるということで、どんな荒っぽい運転をしてもドライバーは死なないつくりのスタント・カーのこと。ボンネットに髑髏をペイントした黒のデス・プルーフ・カーに乗ったマイクがテキサスの田舎町で目をつけたのが人気美人DJのジャングル・ジュリアとその女友だち。60年代風のバーでマリファナやら酒やらでバカ騒ぎをするジュリアたち。そして、ノンアルコール・カクテルを飲むマイク。酔っ払った彼女たちの乗ったクルマとデス・プルーフ・カーの間に起こったのは…。とここまでが前半。前半のタランティーノの狙いは、スラッシャー・ムービーですね。そして後半。14ヵ月後、今度はテネシーのとある町。映画撮影に携わっているキム、ゾーイたちは撮影の合間をぬって車の試乗をすることに。そんな彼女たちに目をつけたのは、あのマイクでした…。てな訳で、後半はカー・チェイス・ムービーの様相。前半と後半の対比もはっきりしていて飽きることがありません。うーん。やっぱ、いいねタランティーノ。音楽のチョイスも含めて、B級のアメリカ満載でした。真面目な映画が好きならオススメしませんが、タラ節好きには堪らない作品です。さて、おっつけ「プラネット・テラー」も見なくては。
ちなみに、映画の中に出てくるクルマですが、スタントマン・マイクがテキサスで乗ってるのが、シボレー・ノヴァ。テネシーでは、ダッジ・チャージャー。テネシーでキムが乗ってるのは、「バニシング・ポイント」に出てきた70年型ダッジ・チャレンジャーという布陣。もちろん、もともとキムは、現代のフォード・ムスタングに乗ってるしね。この映画、クルマやバーがとてつもなく古い癖に登場人物は携帯でメールしてたりする。その辺の不思議な時代感覚も楽しめる作品です。