この間のドラマ「砂の器」以来、ちょっとした松本清張ブームである。「黒革の手帖」も好評のようだ。そんな中で、松本清張原作の映画「霧の旗」を見る機会があった。主演は倍賞千恵子と滝沢修。脚本は橋本忍である。実の兄が冤罪の殺人罪で逮捕された。東京の第一人者である弁護士・滝沢修に弁護を依頼する妹が倍賞千恵子。しかし、弁護士は金にならない田舎の事件を断る。兄は有罪となり死刑になる。東京に出た妹は銀座のバーで働くが、ふとしたことから弁護士の恋人が容疑者となる殺人事件の現場に居合わせ、重要な証人となる。そして、妹の復讐が始まる。という内容。まあ、偶然が起こりすぎるきらいはあるが、原作の小説は面白そうである。しかし、映画は、駄作。山田洋次は、「寅さん」シリーズと「学校」などのちょっと左がかった映画で有名だが、パターンをなぞるような演出しかできない人。その原点を見たような気がした。昭和30年代の風俗を見る意味では面白いが、サスペンスとしては物足りない。