ある意味完璧なB級アクション映画です。原作は「このミステリーがすごい!」の2000年海外部門で第1位に輝いたスティーヴン・ハンターの小説。僕は未読ですが、スティーヴン・ハンターは狙撃と銃をテーマにしたエンターテインメントを書く作家らしいですね。すでにシリーズ化もされている超人的スナイパーのボブ・リー・スワガーが主人公です。スワガーを演じるのは、「ディパーテッド」でオスカーにノミネートを果たしたマーク・ウォールバーグ。監督は「トレーニング・デイ」のアントワーン・フークワ。フークワは「ギャング・オブ・ニューヨーク」の脚本改稿に参加してるそうで、マークとも旧知の仲らしいです。海兵隊の特殊部隊としてのアフリカでの極秘任務で相棒を亡くしてしまったスワガーは、南部の山奥で隠遁生活を送っています。そこに大統領暗殺計画の阻止を手伝って欲しいとやってきたのが、アイザック・ジョンソン退役大佐(ダニー・グローバー)です。しかし、この話はスワガーを大統領暗殺犯として陥れるための罠だったのです。死んだ戦友の妻、ヘマをやらかしたFBIの新人捜査官、海外でのぼろ儲けに暗躍する上院議員…。複雑に関係する登場人物たちとどんでん返しの連続の結末。なかなか低予算ながら楽しめる映画です。2時間5分という長さも苦にはなりませんでした。風向きや温度、湿度をチェックしながら、1マイルも先のターゲットの中心に銃弾を打ち込むスナイパーがとてもカッコいいですよ。
ところが、主演のマーク・ウォルバーグは実は左利きなんですよね。実際の話、軍隊の特殊銃器はほとんど右利き用にしか作られていないそうで。映画の前半ではウォルバーグは右手を使って銃を撃っているんですよ。ところが、右胸を狙撃されて、後半ではほとんど左手で銃を扱うという展開なのですね。このあたりは、いかにも取ってつけた感じで違和感ありましたよ。折角のナイス・ヒーローが登場した訳ですが、シリーズ化された俳優が代わると思ったほうがいいのでしょうかね。