ジェイムズ・エルロイは、実際にあったエリザベス・ショート殺人事件を元に「ブラック・ダリア」を書いて作家として注目を浴びました。その後「暗黒のLA」4部作・「ブラック・ダリア」、「ビッグ・ノーウェア」、「LAコンフィデンシャル」、「ホワイト・ジャズ」を書き、さらに「アンダーワールドUSA」シリーズとして「アメリカン・タブロイド」を発表するなどアメリカン・ノワール作家として順調に地歩を築いています。最初に映画化されたのは「LAコンフィデンシャル」で(監督はカーティス・ハンソン)、アカデミー賞にも大量にノミネートされたので憶えている方も多いでしょう。そのエルロイのデビュー長編をあのブライアン・デ・パルマが映画化したのがこの作品。40年代のロサンゼルスを舞台に、女優志望の女性が惨殺された“ブラック・ダリア事件”を追う刑事ふたりの運命が描かれています。主演に、ジョシュ・ハートネット、スカーレット・ヨハンソン、アーロン・エッカート、ヒラリー・スワンクを配して、万全の超大作です。ストーリーは原作のままですが、明らかに
デ・パルマはスカーレット・ヨハンソンと仕事がしたかったような映画の出来上がりですの色調はセピアっぽく、いかにも戦後すぐのアメリカという感じ。事件の謎解きというミステリー的要素よりは、2人のボクサー出身の刑事と2人の女性という人間関係をより濃く描いているのです。その分、ちょっと不満が残ったのかもしれません。ただし、ヨハンソンの映像は死ぬほど魅力的に撮れているんです。いかにも、こんな女がいたら誰だって惚れるでしょ、という印象なのですよ。こりゃ、もしかしたらデ・パルマはヨハンソンに惚れたのかもね、って感じすらいたします。
比べてヒラリー・スワンクは、骨ばってて、ゴツゴツな金持ち女として描かれてて可哀そうです。ま、「ミリオンダラー・ベイビー」で女ボクサーやった位だから仕方ないのかもしれませんけど…。本来、ノワールものは大好きな僕なのですが、ウエットな男女関係に重きを置きすぎたきらいのあるこの作品はちょっとパスって感じでしたね。まあ、スカーレット・ヨハンソンが綺麗だったから、いいか。