バツイチ、子持ち、大酒飲み。だけれど、検挙率はナンバーワン。そんな設定の敏腕美人刑事が、テレビドラマ「アンフェア」の雪平夏見。脚本家の秦建日子が書いた原作小説が出ていますが、秦さんが書いたのはこの小説だけ。テレビシリーズの脚本は佐藤嗣麻子さんが手がけています。ちょうど1年前、2006年の1月ドラマとして放送されましたが、最低視聴率14.0%。最高視聴率16.5%、と非常に安定した視聴率をマークしています。篠原涼子が演じる主人公のキャラクターが受けたのかな。早速、10月にはスペシャル版「コード・ブレーキング~暗号解読」も作られました。こちらは、18.3%も取ってますよ。僕はシリーズをすべて見た訳ではないのですが、小説はそこそこ面白かったです。さらに、篠原涼子に加えて、阿部サダヲ、濱田マリ、加藤雅也、寺島進、香川照之と通好みの脇役キャスティングが功を奏したのかも。そして来月。シリーズ完結編として映画「アンフェアthe movie」が公開されます。スペシャル版に続いて登場する江口洋介のほか、椎名桔平、成宮寛貴、加藤ローサ、大杉漣、寺田農とこちらも脇がシブ系です。ストーリーですが、ドラマシリーズ→スペシャルドラマ→映画、とちゃんとステップを踏んでるあたりは偉いですね。全体を貫く犯人とか不正・犯罪・謀略に一貫性があるのですね。とは言うものの、つくりは荒唐無稽です。明らかに雪平を狙ったと思われる爆弾による自動車爆発事故。怪我をした娘が入院した警察病院がテロリストに占拠されます。SATでも確保できない頑強なテロリストたち。彼らの要求は、警察の裏金80億円をよこせ、というもの。極秘入院中だった警察庁長官を人質にしたテロリストのリーダーが椎名桔平です。娘を助けるためにテロリストのもとに向かう雪平と薫ちゃん(加藤雅也)。さらに犯人は雪平の上司となっている斉木(江口洋介)を交渉窓口に指名した…。タイムリーなネタである警察の裏金を巡る警察内部の軋轢・陰謀・復讐を餡子に、バイオテロでくるんで、母子愛をまぶした。そんな作品。細部の辻褄が合わなかったり、意味なく殺しあったり(逆に意味なく殺さなかったり)、テロリストがくだらないミスを連発したり。映画単体として見ると瑕も多いんですけど。キャスティングの妙とシリーズ全体を流れる大きなうねりを楽しむための映画なのかも知れません。
ところでエンドロールになっても席は立っちゃダメですよ。実は本編中には、例の雪平独特の「死体のあった場所に寝転がって捜査に集中する」という場面がないんです。今回はどうしちゃったの…、と思っていると。ちゃんとエンドロールの後に用意されているのですよ。そのへんもお楽しみにjね。