「風が強く吹いている」を読んで、すっかり三浦しをんファンです。去年の夏、直木賞直後に買って未読だった「まほろ駅前多田便利軒」を早速読了。なるほど、こういう持ち味の作家ということでしたか。主人公ふたり、多田と行天の関係は、どこか「風が」の走とハイジに似てないでもないしね。ある意味、少女マンガっぽいと言えばそうだし。やっぱ、BL系? でも、会話は面白いし、ストーリー展開もけっこう意表をついていてグッドです! それぞれ過去を持つ独身男二人が便利屋をやりながら、さまざまな人々と出会っていくという設定の中、きちんと短編連作として大きなうねりも産み出していく手腕は並大抵ではないですね。全然方向性は違うんだけど、ちょっと石田衣良の「池袋ウェストゲートパーク」を思い出しちゃいました。街を限定したのと、お水やギャングや警察が登場したりするところが、似て見えたんだよな…。順番で行くと、「まほろ」→「風が」な訳で、この先の新作にはもっと期待できますね。
ちなみに、この「まほろ市」は明らかに東京の町田市がモデルですね。実際、町田には「田んぼ」という名の色町がありますからね。