「
イカとクジラ」という変テコなタイトルの映画を鑑賞。ま、原題が「The Squid and the Whale」ということでその直訳なんですけど…。監督はノア・バウムバック。彼のお父さんはジョナサン・バウムバックと言う文芸評論家。お母さんもジョージア・ブラウンと言う「ビレッジ・ヴォイス」の映画評論家。先端的知識人の両親を持つ子どもがどう育っちゃうかを描いた自伝的な作品です。舞台は1980年代のNYブルックリン。普段の会話に、カフカやディケンズの名前が出てきたり、見に行く映画がヌーベル・ヴァーグやデビッド・リンチだったりする、妙ちきりんな家庭。しかも、母親(ローラ・リニー)は不倫しまくりで、結局離婚。その一番の原因が、父親の本が売れず、母親がニューヨーカーで小説家デビューしたからだったりするんですよね。親父(ジェフ・ダニエルズ)も完全ダメ親で、子どもの面倒みるよりも、教え子の女子大生(小説で喰えないんで、大学で文学を教えてたりします)を家に連れ込んでやっちゃってる始末だし。そうなると子どもだって、ヤバくなってきて、兄のウォルト(ジェシー・アイゼンバーグ)は、学校の一芸コンテストでピンク・フロイドの歌を自作と偽って披露しちゃうし、弟のフランク(オーウェン・クライン=ケビン・クラインとフィービー・ケイツの息子)は中学生なのに、アル中でオナニーマニア(出ちゃった液体を図
書館の本や好きな女の子のロッカーに塗りたくる!)という滅茶苦茶さ。題名はアメリカ自然博物館に展示されているマッコウクジラとダイオウイカが格闘する巨大な模型(←)から取られてます。両親の争う様を見て育ったウォルトはこの海の巨大海獣の闘うジオラマが小さい時から、怖くてしょうがなかった訳なんです。不思議なテイストだけど、すんなり見れちゃう。素直に面白い映画でした。不良を親に持つのも大変だなあ、と。だいじょぶか、俺の子ども?