2006年のケラリーノ・サンドロヴィッチは新作が年初(2月か)の「労働者M」の1本。その他は演出のみ、もしくは自作のリメイクを意欲的にこなした感じです。ナイロンの「カラフルメリィでオハヨ」、エドワード・オルビーの「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?」、ウディ・アレンの「漂う電球」ときて、現在上演中なのが、2000年初演の「ナイス・エイジ」再演です。三軒茶屋の世田谷パブリックシアターに見に行ってきました。初演時からキャストを大幅に変え、新しいネタも仕込んで、極上のコメディになっとりました。残念ながら僕は初演を見ていないのですが、CSのシアター・テレビジョンでやるとのことなので(12/17)、是非見て比較したいものだと…。ストーリーはSF仕立て。長女・想子(新谷真弓)を日航機の御巣鷹山の事故で亡くした廻一家。かつては裕福だったけれど、今は没落しボロアパートに。父・時雄(佐藤誓)はギャンブル狂い、母・澄代(峯村リエ)はアル中、次女・春江(長田奈麻)は独身なのに妊娠中、長男・時次(大倉孝二)は金髪のフリーター。ところがこのボロアパートの風呂場はタイムマシンだったのです。てな訳で、時制は1945年と1964年と1985年と2000年と2013年の8月12日を行ったり来たりするのです。若かりし頃の自分にあったり、これから生まれてくるはずの孫にあったり。かつて演芸に凝っていた時雄が入れ込んだコメディアン・カンダタこと神田正(坂田聡)もからんで大騒動。そんな混乱を解決するために動くのがタイムパトロールである堺井夫妻(原金太郎・池谷のぶえ)。てな具合。別の時代のストーリーが入れ子に進んだり、過去と未来を行き来するなかで様々な伏線が効いてきたり、いやおもろい、おもろい。キャストは、みのすけ、峯村リエ、大倉孝二、松永玲子、長田奈麻、安澤千草、新谷真弓、廣川三憲、藤田秀世、大山鎬則、喜安浩平、
吉増裕士、杉山薫、植木夏十、皆戸麻衣、柚木幹斗、佐藤誓、志賀廣太郎(青年団)、原金太郎、坂田聡、池谷のぶえ、加藤啓(拙者ムニエル)/立石凉子(演劇集団円)。休憩を挟んでほぼ3時間の大作なのでお尻は痛かったですが、頭の中では十二分に楽しんでました。休憩の陰アナが池谷のぶえだったり、YMOの「Nice Age」がかかったりするなど、細々とした遊びも楽しめちゃいます。
さらに毎回パンフレットには凝りまくるナイロンですが、今回も凄いですよぉ。昭和30年代のプラモデルを彷彿とさせる箱入りで、文藝春秋風の解説本と時計をモチーフにしたフォト&イラスト・ブック。さらに厚紙でできた屏風タイプの2007年カレンダー、そのカレンダーに貼って楽しめるキャストたちの人型ステッカー、さらにさらに小松原茂チックなイラストによる大判ポスター(裏は登場人物の相関図になってるというおまけつき)。てな具合の豪華版でたったの2000円。是非是非入手しておきたいですね。