銀座にあって、独特のというか、孤高のというか、不思議な存在のバーが、「
幻の桜」。オークションで揃えた、ヨーロッパとアメリカのアンティークともいえるお酒をも圧巻ですが、店主の井口さんの存在感がそれに増して凄いお店です。三軒茶屋で始まって、銀座のソニービルの裏手に越して、さらに今の場所に移転して、今年の秋には20周年を迎えるというこの古酒バーが突然の閉店です。なんでも、ビルのオーナーが数か月前に変わって家賃30%増しを通告してきたんだそうです。どうも最近の銀座では多いことのようでして、ビルの買い替えという形での土地転がしがブームのよう。それに伴ってプチ・バブルが起こってるみたいなんですね。流石にその条件は飲めないらしく、9月26日をもってお店は閉店。酒瓶とグラスと橡の木のカウンターを引き上げて、新しい場所を探すそうです。井口さんによると虎ノ門あたりを狙っているということですが、開店時期は年末以降の模様。という訳で、あの独特の雰囲気のお店にお別れを告げにいってきました。残念ながら、僕が大好きな1919年の
ドメスティック・ジンはなかったんですが、数十年前のジン(銘柄失念)と100年前のカルヴァドス頂きました。美味しかったです。グラスも相当数家に持ち帰っちゃってたらしいですが、おかげでアンティークのバカラや十七世紀のグラスで飲ませてもらいましたよ。「
Radio 2nd」にしても「幻の桜」にしても、閉店が続いて嫌な感じですね。どうして素敵なバーがなくなっちゃうんだろう。
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