「男と女」はクロード・ルルーシュの1966年作品。アカデミーやカンヌや賞をたくさん取っている超有名な映画だ。僕は高校時代にたぶん渋谷の東急名画座で見た。もちろんその時にはすでに名作になっていた訳である。高校生には、ただただ、とてもお洒落な大人の恋愛映画という感じだったな。レーサーのジャン・ルイ・トランティニャンがカッコよく、映画のスクリプターをやってるアヌーク・エーメがとても色っぽかったのだけを記憶しているのみである。その後、きちんと見直すこともなく、ジャン・ルイやアヌークより(当時の)も自分が年を食ってしまった訳だが、NHKのBSでやったのをHDレコーダーにとってじっくり見てしまった。いやあ、やはり名作。音楽も映像も俳
優も素晴らしいですね。オープンのマスタングに乗ってるジャン・ルイは今見ても十二分にカッコいいし、髪をかきあげてとびきり大きな瞳で見つめるアヌークにはうっとりしてしまう。全然色褪せてませんよ。いやそれ以上かもしれないな。色と言えば、モノクロとカラーを行き来するという映像構成も、意味深で、思わずその意味合いを考えてしまいました。回想がモノクロという訳でもないし、幸せな時の映像がカラーという訳でもなく。どういう基準で分けてるんだろうと、最後まで見たんですけど、理由は結局分からずじまい。
ネットで調べたら実はこういうことらしいんです。
自主制作で撮っていたルルーシュは予算がなくて全部をカラーフィルムでは撮れなかった。だから屋外の映像はカラー、屋内はモノクロにせざるを得なかったらしいのです。さらに、屋外で撮る時はカメラの音があまりにうるさかったので毛布をかぶせてなるべく役者から離れてカメラをかまえたそうです。そして、それがこの映画のスタイルを決めることともなったそうなんです。(メイキング・インタビューよる)
しかし、小さな子供を持つ独身の男女の恋というものが、これだけ美しく描かれた映画は他にないんじゃないかと思いますよ。というか、すでにこの二人よりも年上になってる自分にびっくりしてるんだけどね…。
さて、「男と女」は20年後に続編も作られているんですが、実は制作の前年1965年にプロトタイプともいえる短編が存在したのをご存知ですか。「ランデブー」というタイトルなんだけど。たった
8分39秒の短編で、クロード・ルルーシュの愛車のフェラーリ275GTBがアクセル全開で早朝のパリの公道をただただ突っ走るというもの。カメラはは車載の
1カメのみという超シンプルなつくり。撮影後にルルーシュ監督は逮捕されたというくらいの、やりすぎ映画。なんだけど。カッコいいっす。最近、WOWOWでもやったけど、ネットなら
ここで見れます。