どうも映画が見れてないんですが、昨日はDVDでフランス映画「コーラス」を鑑賞。1時間30分ちょっとの小品で、いかにもフランス映画っぽくってよかったです。冒頭で世界的な指揮者として出てくるのがこの映画をプロデュースした往年の二枚目俳優ジャック・ペラン。記憶にあるのは「ニューシネマパラダイス」とかですね。最近はプロデューサーや監督としても活躍してます。「WATARIDORI」という不思議な映画は彼の監督作品でした。で、世界を股にかけて活躍する音楽家の家を雨の夜訪ねてくる老人がいるんです。そして、彼の口からでた言葉は…。「池の底から来たよ。憶えているかい」というもの。なんて紹介するとミステリーかスパイものみたいだけど、さにあらず。「池の底」とは不良少年やみなしごたちを収容している寄宿学校の名前なんです。もう50数年も前にその寄宿学校にいた少年たちの再会から物語は始まるのです。「池の底」寄宿学校へ舎監として赴任してきたのが、失業した音楽教師であるマチュー。やんちゃで教師たちの言うことをきかない少年たちの無軌道ぶりにあきれはてます。しかし、ふとしたきっかけで一度はあきらめた音楽の夢を彼らに託そうと少年たちにコーラスを教え始め
るのです。親元を離れているせいで荒れている子供たちも次第に歌う楽しさに目覚めていきます。しかし一番の問題児であるピエールはかたくなにコーラスに参加しようとしません。ところが実は飛び切りの美声の持ち主だと分かってマチューのコーラス指導はさらに力がはいります。しかも、ピエールの母親は未婚の母で独身の美女。マチューの恋心もからんでストーリーは展開していきます。この手の映画って、「ブラス」や「リトル・ダンサー」のようにコンテストとかでの成功がクライマックスになるのが常なのですが、この作品は少し違うのです。ちょっと拍子抜けするようなアンチ・クライマックスとその後に用意された素敵な結末。イギリス映画とはひと味違うフランス映画の趣味の良さってところでしょうか。ピエール役の少年はサン・マルク少年少女合唱団のソリストであるジャン・バティスト・モニエ君。まさに心洗われるような歌声がこの映画最大の魅力でしょう。