恵比寿や中目黒に、へんてこな立地と内装・ネーミングのバーやレストランがある。まったく看板を出さずに部屋番号を店名にした「201号室」とか、表札の人名が店名になっている「中村圭太」とか、ご存知の方も多いだろう。不思議な佇まいが売りでそれなりに流行っていた。これらのお店はそれぞれ、おでん屋だったり、沖縄料理を扱っていたりするのだが、最近この系列が凝っているのが鍋ものなのだ。以前「201号室」だったおでん飲み屋は「club 子羊」という名前でジンギスカン専門店になっている。どうやらそれが世間のブームに乗ったらしく、渋谷に2号店を出すなど、大繁盛の様子である。この系列で、一番新しいのが、下北沢の「こぶた劇場」である。うたい文句によれば、佐賀産の「酵素豚」のまったく新しいタイプのしゃぶしゃぶらしい。早速行って
見た。本多劇場から、下北タウンホールに曲がったあたりのビルの1階。看板はないが扉に小さく「こぶた劇場」の文字がある。店内は案外明るくテーブル席が10ほど。奥には、舞台風にしつらえた12人くらい座れそうな団体席もある。メニューは、単品もあるが、メインは酵素豚のしゃぶしゃぶセット・1人前1500円である。コンパクトなカセットコンロにスタイリッシュな鍋がかけられる。すでに鍋の中には牛蒡や葱などの野菜も浮かんでいてヘルシー
感が漂う。肉は酵素豚の肩ロースとバラ。さらにレタス、クレソン、長ねぎ、わかめといった野菜も。つけだれは海水ダレと称する水と藻塩で味付けられたもの。薬味はゆず胡椒と白髪葱だ。思いのほかの美味さである。すいすいと食べられる。塩味でいただくのもやはりヘルシーな感じ。〆は、春雨。お肉を食べたというよりは、なんか野菜鍋をいただいたような後味であった。個人的には、がっつりとジンギスカンの方が好みだが、婦女子にはこちらの方が好まれるのだろうなあ。