ミシェル・セローと言えば、「Mr.レディMr.マダム」で有名になったフランスの名優である。最近は「クリクリのいた夏」などいい味の老け役として活躍している。そのセローと少女との交流を描いた映画が「パピヨンの贈り物」である。原作・脚本・監督は、フィリップ・ミュイル。2002年の作品で、日本公開は2004年。今回DVDで見た。母一人娘一人である少女エルザ(クレール・ブアニッシュ)。彼女が越してきたアパルトマンに住む老人がジュリアン(ミシェル・セロー)。外出しがちな母親を待つエルザと知り合ったジュリアンは部屋におびただしい蝶の標本を飾り、秘密の部屋でさなぎから蝶を飼育している、一風変った老人である。ふとしたきっかけで、ヨーロッパで最も美しいと言われる蝶「イザベル」を探しに、二人は奥深い山道を歩くこととなったのだ。一方、消えたエルザを誘拐されたと勘違いした母親はテレビで捜索をかける。山奥を行く老人と少女を待っていたものは…。というお話。頑なな老人と活発な少女が心の奥に秘めていたものは、家族に対する寂しさだった。ということなのだけど、「イザベル」という蝶をキーとして、作品のあちこちに仕掛けられた伏線が最後に素敵な結末をもたらしてくれる、心安らかになる小品であります。あまり、気ぜわしくない時に、一番好きな人と見るのがいいかも。エンド・タイトルにかかる主演の二人によるデュエットがナイスです。おすすめ。