「セカチュー」で大ブレイク、「北の零年」でも成功を収めた行定勲監督が、三島由紀夫の「豊饒の海」シリーズを映画化した。第一作は「春の海」。妻夫木聡と竹内結子主演。はたして、どこまで原作の豪華絢爛な世界を映像化できたのか…。不安半分、期待半分で見てまいりました。セットや衣装、CGも凄かったのですが、なによりも撮影監督に「花様年華」のリー・ピンビンを起用したのが大成功でした。すべてのカットが、これまでの日本映画と比べて4割増しで明るくて鮮やかです。さらに和服の紅や紅葉の繊細な色などが、くっきりと浮き立つようなライティングです。横ドリーとシャッターを多用するスタイルも、大正時代にぴったりでした。主演の二人は、
少なからず悔いたりない感もあるのですが、全体としては及第点。伯爵家の使用人・蓼科を演じた大楠道代の怪演ともいえる存在感がサイコーです。これでもかこれでもか、と竹内結子が着物を着てでてくるのですが、これがどれも超美しいのです。衣装担当は伊藤佐智子さん、流石です。それと、子供時代の聡子を演じる子役が竹内結子そっくりでびっくり。志田未来、という子、ちょっと注目かも。