この文章のタイトルに「ニコラス・ケイジの」と書いた段階で映画の格が分かるというものである。もちろんプロデューサーはヒットメーカーのジェリー・ブラッカイマーなのだが、スターに頼った高予算のアクション・サスペンス・ムービーであるのは、歴然である。そこを、どれだけルーティーンぽくなく面白くするかが、作り手の手腕なのだが、本作はまあ、ギリギリ合格点というところか。主演は言わずと知れた「ザ・ロック」、「コン・エアー」、「スネイク・アイズ」のニコラス・ケイジ。「ダヴィンチ・コード」の大ヒットでお馴染みになった「テンプル騎士団」「フリーメイソン」といったキーワードをアメリカ建国時代と結びつけたところまでは良かったのだが…。せっかくFBIの捜査官にハーベイ・カイテルを持ってきたのに、生かしきれず。ニコラスの父親役のジョン・ボイトや、一瞬出演のクリストファー・プラマーも役不足の感が否めない。ヒロインは「トロイ」のダイアン・クルーガーだが、存在感はちょい薄。けっこう重要な役割の(ほぼ)新人、ジャスティン・バーサも今いち。とまあ、けなし続けたけど、大掛かりな謎や冒険とか、アメリカ古文書館から独立宣言を盗むという「スパイ大作戦」的な話がお好きな向きなら、許せるのかも。とは言え、「エントラップメント」あたりに比べると、粒が小さいよなあ。構想はいいんだけど、出来上がりの映画が付いていってない、ってところかな。ボーッとお酒を飲みながら休日にDVDでのんびりと、(アクション映画好きの)恋人と見るなら、許しましょう。