今年は、福井晴敏の当たり年。「ローレライ」「イージス」「戦国自衛隊」と関係した映画が続々封切られてる訳だが、彼の小説としては完全に最高傑作と僕は信じている「
亡国のイージス」(
前も書きましたが)がどんな映画になっているのが興味があって見てきました。監督は阪本順治。キャストは主人公である先任伍長・仙石恒史に真田広之、クーデターを起こすイージス艦「いそかぜ」副艦長・宮津に寺尾聰、防衛庁の情報官僚・渥美に佐藤浩市、北朝鮮のスパイ・ヨンファに中井貴一、という現在の日本映画としてはまあオールスターな布陣です。
で、映画の出来はどうかというと…(一部ネタばれです)。一言でいって、よくあの小説を2時間25分にまとめ上げたな、というのが感想です。確かに、原作の、あの詳細に書き込まれた自衛隊内部の男たちの感情や人間関係、言葉で紡ぐからこそ感動を生むヨンファの内面、政官軍の虚虚実実の取引などは、望むべくもない訳だが、登場人物からストーリーからを破綻なく1本の作品に仕上げた力技はたいしたものである。ただし、僕は原作を読んでから見たので問題ないのですが、未読で見た場合、
最初の30分くらいは何が何だか分からないんじゃないでしょうか。後半も、ヨンファと妹の関係もほとんど説明なしだし。如月と父の関係も淡白にしか描いていない。原作を読んでから見て欲しい映画という事ですね。ただし、自衛隊の完全協力による映像は物凄いです。兵器マニアでなくても、必見といえるでしょう。