東直己の最新作「義八郎商店街」を読んだ。東直己といえば、札幌を舞台にしたハードボイルド小説で有名な訳だが、これは180度趣を異にした連作短編集である。タイトル通り東京のどこかにある義八郎商店街が舞台である。地上げやオレオレ詐欺など、さまざまなトラブルにも負けない商店街と公園に住み着いたホームレスのお話。というと人情ものかと思うだろうが、読み進めるうちに…。筆者の初期短編集「ライダー定食」を読んだ人ならわかるはず。SF的な味わいも盛り込まれて、結末は思いもよらない方向へ。好き嫌いはあるだろうけど、東直己のエッセイ好きなら、登場人物にシンパシーを抱くはず。でも、個人的には表紙がカッコ悪かったなあ。とりあえず、ハードボイルドの新作に期待します。