見てまいりました。映画「電車男」。7月からはテレビの連続ドラマも始まると言うし、なにより映画館に人が入っているらしいので。平日の夜最終回。確かに、カップルが10組以上入っておりました。オープニングのタイトルバックからインターネットを意識したスーパーの入れ方で、楽しませてくれます。キャストは電車男に山田孝之、エルメス(ヒロインのあだ名ですね)に中谷美紀。これがどちらも驚くほどのはまり役。アキバおたく姿の山田孝之はちょっと髪型などやりすぎの感もあるけれど、エルメスのお嬢さん度合いも応援するネット仲間もなかなかにリアリティがある。途中でもいろいろなところに文字がスーパーされるのもいかにも「電車男」的で、テレビドラマ出身の監督らしい小技が決まる。恋愛ものとして感動するということはなかったけれど、非情に上質なデートムービーとして完成されている。その裏には、実はこういう構造があるとおもう。まず、おたくに限らず、現代の男たちは女性にたいして消極的であることが多い。さらにエルメスのように企業で働くOLたちも仕事はできても、男性との出会いの機会が少なく、いわゆる「負け犬」化してきている。そういう、いかにも現代的な男女に起こる偶然による恋愛ファンタジー。この物語は極めて今を投影しているストーリーなのだ。それを極めて忠実に映像化したのだから、反応するカップルが少ないはずがない。脇を固めるネットを通じての仲間たちもなかなかのキャスティングである。国仲涼子の看護婦、ひきこもりに瑛太、サラリーマン・佐々木蔵之介に主婦・木村多江、エルメスの友だちに西田尚美、おたく3人組に岡田義徳・三宅弘城・坂本真、そして出会いのきっかけになる酔っ払いに大杉漣。ね、シブめの陣容でしょう。こういうと可哀相ですが、何より中谷美紀のちょっと年行っちゃった雰囲気が唯の夢物語にリアリティを与えている感があります。とりあえず、居酒屋で「おかわり、キボンヌ」つー人が増えそうだなあ。
それぞれネットを覗いている佐々木蔵之介と木村多江は実は夫婦。というようなヒネリもナイス。イメージ上のプラットフォームでの並びも最初と最後でこの2人の位置がビミョーに変わっていたりして芸が細かいです。さらに。エンドロールすべて終わった後に、テレビ版のキャストである伊東美咲と伊藤淳史(ってちびノリダーですよ)によるショートドラマがくっ付いてたりするのも楽しいし。それも宣伝っぽくないのがイイです。