鈴木光司の「リング」はのち「らせん」「ループ」と3部あわせて、ジャパニーズ・ニュー・ホラーとして驚異的なベストセラーである。特に「リング」はテレビ化・映画化されある意味、国民的ホラーとも言えるだろう。その勢いは国境をも越えて、ついにはハリウッドで映画化された。これが1億3000万ドルの大ヒットになったのだから凄い。という訳でつくられた続編が「ザ・リング2」(同名の映画が日本にもあるが、ストーリーや登場人物はまったく別物)。ハリウッド版「リング」である「ザ・リング」はほぼ原作に忠実に映画化された。松嶋奈々子の演じた母親役をやったナオミ・ワッツは、この続編でも主演。完全にオリジナル脚本で、貞子、じゃなかったタマラの存在の謎に決着をつけることに成功している。驚くべきは、監督に日本版でメガホンをとった中田秀夫を起用したことだろう。低予算ながら話題を呼んだ「女優霊」でチャンスを掴み、「リング」でブレイクした彼のこれがハリウッド・デビュー作となる。もちろん、登場人物はすべてアメリカ人。セリフも英語。まあドラマ部分の演出は、普通なのだが、観客を怖がらせるシーンや合成場面などは、さすが中田タッチ! と思わせるものがある。特にクライマックスのタマラの動きはまさに、ジャパニーズ・ホラーと呼ぶにふさわしい出来。世界に出して恥ずかしくない映画となった。トム・クルーズがプロデュースするホラー映画の監督に中田秀夫を抜擢した位だから、世界的に中田が評価されたということだろう。嬉しいのは「キャリー」のシシー・スペイセクが出ていることで、昔からのホラー好きには堪えられないな。