「半落ち」で今年の日本アカデミー賞の最優秀作品賞を取った佐々部清監督作品で、以前から見たかった「チルソクの夏」。ようやく、DVDで見ることができました。若い日韓男女のラブストーリーというと、最近では井筒監督の「パッチギ」がありましたが(未見)、あれより半年ほど早く公開されたのが「チルソク」。「パッチギ」は昭和40年代が舞台ですが、こちらは昭和52年の話。佐々部監督が昭和33年生まれということもあってそういう設定なのでしょう。出演は水谷妃里、相手の韓国人高校生を演じるのが淳評、主人公の親友3人に上野樹里、桂亜沙美、三村恭代。舞台は1977年7月7日。下関の女子高生・郁子(水谷妃里)は、関釜(下関と釜山ね)陸上競技大会に出場するため韓国釜山にやってきて、安大豪という韓国人の高校生と出会う。淡い恋心を抱いた2人は、来年の夏に再会する約束をして別れる。30年も前のことなので、当然のように韓国人に対する偏見もあり、文通だけの交際なのに周りは大反対。そして、翌年の7月7日を迎える…。というお話。「チルソク」とは韓国語で七夕のこと。主人公の父親・山本譲二は流しの演歌歌手という設定で、カラオケのブームとか、ピンクレディやフォークが流行るという時代背景がうまく織り込まれています。一瞬だが出演するフォーク歌手のイルカの「なごり雪」が挿入歌として使われています。相当、監督の好みが反映されてると推測。佐々木監督のオーソドックスな演出は、ややもすればダレそうなくらい淡々とした筆致。しかし、随所に挿入される、下関の町を新聞配達
をする郁子の姿は四季を通じて印象的だったなあ。「スゥイングガールズ」とは違って、(当時としては)ススンでる女子高生・真理を演じる上野樹里はやはり、ダントツの存在感でした。ごくごく普通の青春映画なんだけど、細部に光るところがたくさんある作品。ただし、ちょっと不思議だったのが、ロッカールームや部室での更衣場面が多かったこと。なかよし4人組がブラジャー姿で話すシーンが数か所もあるのは、やはり監督の好みなのだろうか。そこだけ、ちょいと疑問。