ジャニーズの芝居なのでちょっと敬遠していたんだけど、演出が堤幸彦で舞台美術が朝倉摂と聞いて、行く気になったのですね。しかし、S席8500円は高いけど。で、初めての東京グローブ座。新大久保の駅から歩いて7、8分なんですが、この駅が凄いんです。大久保、新大久保がエスニックタウン化してるのは承知していたはずですが、休日の昼間がこんな状態とは…。駅前で待ち合わせているのはほとんどが外国の方。一番多く見かけるのが韓国からの方々。ハングルの旅行ガイドを片手に大声で話してらっしゃいます。他にも、フィリピンの女性たちとか、黒い肌の男性たちとか、いやあ日本人の方が少ないですね、明らかに。それはともかく。ほんの少し歩いただけで高層住宅西戸山ガーデンタワーに到着。その隣に円形の東京グローブ座はあるのです。もともとグローブ座は中曽根政権の民活の一環としてシェイクスピア作品上演を目的として、ロンドンのグローブ座を模した作られたのだ。だが、立地の悪さと地味な演目で赤字を重ね、2002年にジャニーズ事務所が買収したのだ。以来、V6や嵐などの芝居を上演している。だからと言って、ミーハー向けのお子ちゃま演劇かというと、そうでもない。今回の堤幸彦だけでなく、串田和美、G2、鴻上尚史、横内謙介、河原雅彦といった演劇界のタレントに演出を依頼しているのだ。もちろん出演はJのタレントだから、学芸会といわれることもあるが、好評に迎えられるものも多い。今回の「理由なき反抗」。もちろんジェームス・ディーンの主演で有名な映画の舞台化である。ストーリーはまあいいか。演出的には、一番は「回り舞台」を使ったセットが大きい。まあそのせいでセット転換は出来ないので、同じセットを見立てで様々な場所に仕立てるのだが。しかし、一つの煉瓦のドームを警察やプラネタリウムや崖の上に見立てる企ては成功している。と思う。客席のほぼ9割5分を占めるジャニーズ・ファンの観客にもしっかり伝わっていたようだし。そしてもう一つの特徴は、映像の多用。堤監督が映像出身なので、さもありなんではあるのだが。最近の芝居にはオープニングタイトルを映像で出したり、場面転換のつなぎにスクリーンを使ったりする例が多い。この作品では、それから一歩踏み出して、映像にも芝居のある部分を受け持たせているのだ。崖上でのチキンレースのシーンとかね。それから、客席もふんだんに駆使している。役者が後ろの扉から登場したり、客席の一部を舞台として使ったりしているのだ。さらに
その模様をビデオカメラで撮影して舞台左右スクリーンを使って立体的に見せる工夫もされている。なかなか今までにない演出で面白かった。出演する役者も多士済々で特に印象に残ったのはSETの野添義弘。存在感のあるレイ警部だった。しかしまあ、何といっても驚いたのは二宮和也の演技。ジャニーズ侮るべからずだね。あれだけの台詞と立ち回りをこなすとは…。ちょっと感心しましたよ。