直木賞もとって石田衣良は超売れっ子である。彼のデビュー作にして最大のヒット作が「池袋ウエストゲートパーク」。テレビドラマ化もされて(TOKIOの永瀬が主演というのも大きかったろう)、本もベストセラーである。その5冊目が「反自殺クラブ」。表題作の他に「スカウトマンズ・ブルース」、「伝説の星」、「死に至る玩具」の計4編が収録されている。池袋のトラブルシューター・マコトは相変わらず元気ではある。しかし、少々マンネリ気味と感じるのは僕だけだろうか。ネタ的には、風俗のスカウトマンと女の子、往年のスター最後のステージ、ブラック系バービー人形工場の悲惨な中国人労働者、集団自殺とそれを阻むグループ、てな感じで、いい匙加減でジャーナリスティックな風俗が取り込まれてる。なのだが、展開がマンネリ。マコトの独白によるプロローグから物語が始まり、ゲスト・キャラクターとの出会い、Gボーイズの王様・タカシや池袋署の吉岡、ヤクザのサル、ハッカーのゼロワンたちの力を借りて、一件落着。というパターンに嵌りすぎかも。母ちゃんのキャラクターもテレビの森下愛子に影響されてる感もあるし…。オチのつけかたもちょいと安易かな。いくら企業イメージといっても「死に至る玩具」みたいには会社は動かないだろうし、「反自殺クラブ」の真犯人もちょっと見え透いてるなあ。と言いつつ、楽しんで読んだ訳ですが。ここはひとつ、今後池袋以外でも活躍するマコトみたいに展開しないと、厳しいかもね。もしくは、重要な登場人物を消しちゃいますか…。