「SIGHT」と「QUICK JAPAN」のマンガ特集を読んでたら、なんか猛烈にマンガが読みたくなって、家にあった浦沢直樹の「モンスター」を一気読了。18巻に5時間か。しかし、連載中にも読んでたし、単行本も出るたびくらいに買って読んでいたのに、一気に読むと色々見えなかった部分が見えてくるもんだ。以下ちょっとネタばれもあるけど感じたことを…。一言で言ってしまえば、東欧のナチス残党などによって孤児院での実験で、冷酷な殺人鬼となった少年(後半は青年)ヨハンとその二卵性双生児である娘アンナを巡る物語。主人公のドクター・テンマは、天才的脳外科医。頭部に弾丸を受けて運び込まれたヨハンを手術し、助けた彼は冤罪に巻き込まれ、ヨハンを探して逃亡を続ける。という話。読み終えてみると、このストーリーをここまで長く続けた浦沢直樹の執着力に驚く。しかし、一気に読んでも、ところどころページを戻すところがあるくらいだから、連載中に読んでいた読者も相当混乱したと思う。最終的にキチンとした
説明はなされないのだが、ヨハンがこれだけヨーロッパ各地に足跡を残し、闇の銀行を牛耳っていたとしたら、ここまで謎の存在でもなかった気がするが…。BKAのルンゲだって、ヨハンのことをあの時点までテンマの想像上の存在と信じるのもちょっと腑に落ちません。あと、女装したヨハンが本当に女に見えたのか? など疑問も多いが、そんなこと微塵も瑕疵にならないくらい面白い。天馬という名前。天才的外科医という設定。全体に手塚治虫へのオマージュも見え隠れする。この後、「20世紀少年」、そして「PLUTO」に繋がるテイストがすでにあった訳だ。個人的には、元婚約者であるエヴァ・ハイネマンを巡るエピソードが好きだなあ。