白川道は、実は大好きな作家で、デビュー作の「流星たちの宴」が新潮社から出た時は、即買いで一気読み大感動したものだった。2作目の「海は涸いていた」も、ちょいと甘かったけど好きだった。その後しばらく新作がなかったのだが、幻冬舎から「天国への階段」が出て、ベストセラーとなった。こうした長編の流れの裏で、週刊ポストでの「病葉流れて」の連載は続いていて、第1巻だけは98年に単行本になっていたのだが、続刊は何故かほっておかれた。それが昨年、2巻、3巻 と続けて出版されたのだ。ポスト連載時は、1回1回が短すぎて読む気になれなかったが、麻雀活字をふんだんに使った麻雀小説で、これがグイグイ読ませるのだ。今回、全3巻を読んだのだが、これが素晴らしい青春大河小説なのですね。もちろん、阿佐田哲也と比較する気はないけれど、現代のピカレスクものとしては最高傑作でしょう。主人公の梨田雅之は「流星たちの宴」の主人公と明らかに同一人物である。だから、「病葉」3作を読んでから、もう一度「流星」を読む、という愉しみも残されているのだ。さて、様々な資料には「病葉」三部作完結、と書いてあるのだが(確か、「本の雑誌」で北上次郎さんも三部作というからには高校時代が読みたい、と書いていた)、ここから「流星」までは15年はある。この空白を埋める梨田の人生が読みたくてたまらないのである。