知ってる人、少ないと思うなぁ、この本。文芸評論家の絓秀実さんが、俳優の萩原健一・ショーケンにインタビューした新書です。ワニブックス新書、ってのも見かけないですもんね。置いてある書店も限られると思います。しかし。しかし。しかし。このインタビューが、めちゃめちゃ面白いんですよ。200ページくらいで、字組みも大きめの新書なのに、至るところに拾うべき文言が散りばめられてるんです。こりゃあ、まあ読まないと分からないでしょうね。GS時代に付き合ってた江波杏子の縁で現代人劇場の蜷川幸夫と知り合い、海外でレコーディング・トラックダウンをし、山内テツの繋がりでエリック・クラプトン、ジョージ・ハリスン、ミック・ジャガー、ロッド・スチュワートと酒を飲み、俳優になる前は助監督として脚本直しもし、黒澤映画の合間を縫ってインドへ行きマザー・テレサやサタジット・レイに会ってるという、すごい半生。買うか、図書館で借りるかして、ぜひ読んでみてください。ショーケンへの観方が変わること請け合いです。自分を天才と信じている天才俳優の心情吐露。映画・演劇好きなら一読に値する本ですよ。
おまけとして、一部発言をご披露しておきましょう。
●黒澤明作品に出演して・・・「これが映画だよ。今まで俺は何をやってきたんだ」
●「当時僕は江波杏子さんと付き合っていて」(ってバラしていいの?)
●勝さんがこういうこと言ったらしいよ。「原田芳雄はサングラスをとるタイミングを間違えた。優作はショーケンの真似をし過ぎた」と。
●「僕が一番下っ端の助監督として斎藤耕一さんと「約束」の脚本を直してた時に、中島丈博さん、倉本聰さん、市川森一さんも一緒にいたんです。
●「だって、僕はウッドストックに行ってるんだもの。ジミ・ヘンドリックスを見てる」
いやもう本当、スーパースターですよ。読みたくなったでしょ。