アガサ・クリスティ原作というのでもないと、フランス映画が日本で公開されるのも珍しんでしょうね。Bunkamura ザ・シネマで見てきました。公開2週目の土曜の朝10時の回なら空いてるだろうと思ったら、クリスティ好きのおばさま達わんさかでびっくり。満席という訳じゃないんだけど、8割は入っていたんじゃないかな。「ホロー荘の殺人」が原作。元来ポワロものなのだそうですが、未読です。舞台化にあたって、クリスティ本人がポワロ抜きで脚本化したものを映画化したようです。フランス上流階級の世界で、プレイボーイの精神科医が被害者。元恋人や元々恋人、現恋人、妻など容疑者は多数。恋愛と殺人を絡めた、いかにもクリスティらしい、女性好みの作品といっていいんでしょうね。2008年の製作らしいけど、クリスティの生誕120年にあわせて今年配給公開されたようです。見終わった感想としては、まあDVDでもよかったかなぁ、というところ。あからさまなプレイボーイとそれを取り巻く女性たちの心理の描き方が、ちょっとデリカシーに欠けているような気もしました。ただし、出演している役者さんたちはそれぞれ個性的でした。実際に高級官僚や映画監督、俳優などを親に持ちながら俳優の道を選んだという履歴の持ち主も多いので雰囲気は確かにあるんですよね。なんだけど、殺人のトリックがあまり詳しく描かれないのでミステリーとしては未消化。男女の愛と殺意みたいな曖昧なところでテーマ追及が終わってる感じでした。面白かったのは、それだけのセレブの集まりなのに、乗ってくるクルマがみな古かったり、ボロかったりするところ。フランス上流階級ってクルマに興味ないんでしょうかね。フランス好きとクリスティ好きなら、見てもいいんじゃないでしょうか。