六本木ヒルズのヴァージンシネマズで「ニュースの天才」を見てきた。監督は知らない人。主演はヘイデン・クリステンセン、て「スターウォーズ エピソードⅡ」の男の子ですね。すべて実話で、ワシントンDCの高級ニュース雑誌「ニュー・リパブリック」で実際起こったことだという。「ニュー・リパブリック」は大統領専用機、エア・フォース・ワンに積まれている唯一の雑誌というのが誇りのクオリティ・マガジン。ほとんど写真も掲載しない、おカタい雑誌なのです。その編集記者であるスティーブン・グラスは弱冠25歳なのにスクープ連発のやり手なのだ。しかし、その記事の細部にはどうも不審な点があった。それに気付いた編集長が調べていくと…。というストーリー。グラスは編集長に先回りして様々な工作を仕掛けるのだ。アメリカでは数多くの捏造記事や剽窃記事が明らかになっている。中にはピューリッツア・ウイナーが取材対象をでっち上げていたケースもある。というかワシントンポストのジャネット・クックという28歳の黒人記者は8歳にして麻薬中毒に犯された少年を取り上げた「ジミーの世界」と題する一連の報道でピューリッツア賞を受賞した。ところがこれがまったくの捏造だったのだ。ポスト紙はこの事実をオンブズマンを使って検証し、信用回復に成功したという。映画が取り上げているスティーブン・グラス記者も1998年のピューリッツア賞の最終選考に残っていたらしい。全体に暗めの映像で淡々とした小品を感じさせる映画。プロデューサーにはトム・クルーズの名もあるが、それを感じさせない地味な仕上がり。事実に基づいたせいか、驚くほどの展開はないが、見せる。誰にでもお勧めという訳ではないが、ジャーナリズムに興味ある方は後々ビデオになった時など、是非。