あっち、こっち、で大評判の園子温監督「愛のむきだし」、ようやく見ることが出来ました。結構、レンタルが空いてないんですよ。しかし、長い! 4時間ですよ、4時間! 出来れば映画館で見たかったなぁ。DVDだと、気が散っちゃうんですよね。途中までは多少辛抱が必要だったかな。でも後半、映画に惹きこまれるほどに時間は気にならなくなりました。荒唐無稽で、エロで、ちゃちで、理不尽で、馬鹿馬鹿しくって、長すぎるんだけど、その分、面白い、笑える、泣ける、ジンとくる、納得する。いや、たいした映画です。敬虔なクリスチャンの家に生まれた主人公・ユウ(西島隆弘)。母が亡くなり父・テツ(渡部篤郎)は神父になる道を選びます。しかし、父は自由奔放なカオリ(渡辺真起子)と恋に堕ち、その反動でユウに懺悔を求め始めるのです。自分に罪を見つけられなかったユウは仕方なく盗撮の道へ…。パンチラ盗撮の天才となったユウが初めて恋心を抱いた女子高生がヨーコ(満島ひかり)でした。しかしその頃、勢力を増していた新興宗教「ゼロ教会」の幹部・コイケ(安藤サクラ)はユウとその家族に興味を持って、テツ・カオリ・ヨーコを洗脳し入信させてしまうのです。そして、家族をコイケとゼロ教会の魔の手から救い出すためのユウの闘いが始まったのです…。って、ストーリーを追いかけてても、この映画の何も伝わらないですよね。これはもう、見るしかありませんね。なにしろ、キャスティングが素晴らしいんです。特に、西島隆弘くんと満島ひかりちゃん。この美しい二人なくして、この映画は成立しなかったと言っても過言じゃないでしょう。加えて、他のキャストもエクセレントなのです。過剰なエロさで迫りまくる怪演の渡辺真起子さん。奥田瑛二と安藤和津の娘である安藤サクラの異様な存在感もよかった。もちろん、渡部篤郎さんは渡部篤郎さんな訳で。完璧なキャスティングでしたよ。この映画、見てない人は、絶対に見るべし!
なにより、一番驚いたのは、この映画が実話を基にしてつくられているってことでした。ありえないでしょ。こんな家族と人生なんて、想像もつかない世界ですよ。事実が小説より奇だったから映画になっちゃった、って訳なのですね。確かに、園子温監督、鬼才です。