「アバター」とならんで、アカデミー賞ノミネート最多。しかも、監督のキャスリン・ビグローは「アバター」のジェイムズ・キャメロンの元妻。ってことで地味目な内容にもかかわらず話題作となっている「ハート・ロッカー」を一足早く、試写で見てきました。イラク・バクダッドの米軍・爆弾処理兵を主人公にした、ハードな映画でしたね。昔はアメリカの戦争映画といえば、「地獄の黙示録」や「フルメタルジャケット」など、ベトナムを舞台にしたものが多かったのですが、最近はイラクものが増えました。ご存知の通り、バクダッドでは爆弾テロが横行しているわけです(自爆テロも含む)。まさにその爆弾を処理する男たちの物語。地雷タイプあり、時限爆弾あり、放置された自動車の中に仕掛けられた爆弾あり、中には人間にチョッキのように着せてしまった爆弾まであるのです。そして、分厚い防護スーツに身を固めても、爆弾の威力によっては命を落とすこともある危険な職業。いま、確実にイラクで起こっていることをノンフィクションを原作に映画化した作品です。スターは映画の中で死なない、という観客の心理を逆手にとって、有名ではない俳優をキャスティングしたカスリン・ビグローの狙いは当たってます。なにしろ、最初に出てくるガイ・ピアースがすぐ死んじゃうんだんもん。いつ何が起こるかわからないという意味で、まさにイラクの戦場にいるかのような時間が過ごせる映画(って、それ嬉しくないけど)。アメリカでのキャッチ・フレーズが「ウォー・イズ・ア・ドラッグ」なんだけど、よくわかります。タイトルの「ハート・ロッカー」は「傷ついた者を入れるロッカー」ということで、棺桶を指す兵隊のスラングだそうです。さて、来週のアカデミー賞、結果はどうなるんでしょうかね。