三浦大輔さんといえば、ポツドールの主宰。と言ってわかる人がどれだけいるんだろうか(ちなみに、ポツドールは劇団の名前)。でも、岸田戯曲賞は取ってるし。演劇業界では有名人です。その三浦さんの長編映画初監督作品が、この「ボーイズ・オン・ザ・ラン」。スピリッツ掲載のマンガ原作だそうです。僕は、原作マンガは読んだことありませんでした。で。主演が、銀杏ボーイズの峯田和伸さん。面白そうだな。ってことで見てきました。ダメダメな主人公・田西がイタいんだけど、面白かった。主人公は、ガチャポンの会社で営業マンをやってる田西クン(峯田和伸)。同じ職場でおもちゃのデザイナーをやってる女の子・ちはる(黒川芽以)とイイ感じ。営業先でよくであるライバル大手の営業マン・青山(松田龍平)のおかげで一緒に飲みに行くことになるのだが…。田西が素人童貞っていう設定らしく、とにかくカッコ悪いんです。その辺が男子にはグッとくるんですねー。それと、ちはるのキャラクター。ちょっと色っぽくって、自分(田西)に気がありあそうなんだけど、言動はそれと反対だったり、さらには行動もメチャクチャだったりして。ガシャポンのおもちゃがエロ系の設定になってるし、サイド・キャラでソープ嬢のしほ(YOU)が登場したり、前半はまあ下品系コメディの体なんですね。と言っても、脇を固めるのが、小林薫だったり、でんでんだったり、リリー・フランキーだったりと、相当にナイス・キャスティングなので、十分に鑑賞に耐えます。さらに後半、元ボクサーの先輩という設定の小林薫にボクシングを習うことになって、最終目的は復讐のケンカになるんですね。ま、結末は想像通りの方向に行って…。ちょっと虚しさが残るけど、見終わってイヤな感じは受けませんでした。
で。マンガ喫茶に行って原作コミックを読んでみたんですよ。いやこりゃ原作の方が数段面白いな、と。三浦大輔演出ってことで相当脚色してあるんだろうと思ったら、ストーリー展開はほとんど原作通りでね。原作がよく出来すぎてるんですよね。格闘マンガとしても読めるし(映画の格闘シーンはあんまり本格的じゃなかった)。という訳で、ちょっとがっかりな部分もあったけど、そこはそれ最近の日本映画としては上々の部類に入る作品だと思います。この映画で一番よかったのは、田西役の峯田和伸クンがカラオケで岡村孝子の「夢をあきらめないで」を歌うところでしたね。さて、次は三浦大輔監督のオリジナル映画が見てみたいですね。