「未来世紀ブラジル」のテリー・ギリアムの最新作、と同時に早逝したヒース・レジャーの遺作でもあるのが、この「Dr.パルナサスの鏡」です。撮影中に主人公役のヒース・レジャーが亡くなったのに映画が完成したのはヒースの友人であるジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレルの3人が協力したから、という裏話も有名ですね。テリー・ギリアムのファンタジーな設定だからこそ、顔の違う4人がひとりの役を演じられるということで、製作中止の憂き目を見ずにすんだのです。なんと言っても「モンティ・パイソン」のテリー・ギリアム作品。超不可思議な世界を見せてくれます。肝は、タイトルにもなってる「Dr.パルナサスの鏡」。この鏡の中に入ると、自分の望んでいる世界が繰り広げられるという代物なのです。しかし昔の因縁で賭けをすることとなったDr.パルナサス
(クリストファー・プラマー)と悪魔のMr.ニック(トム・ウェイツ!)。中に入った人間に2つの選択肢を用意しています。チョイスを間違えて悪魔を選べば爆発して消えてしまうというもの。どちらが多くの人間を引き寄せたかで、勝った方がパルサナスの娘ヴィクトリア(リリー・コール)を得るという賭けなのです。しかし、そこに橋の下で首を吊っていたトニー(ヒース・レジャー)が現れて…。というお話。こういう設定ですから、うまい具合に、鏡の中に入った時のトニーを3人の男優が演じ分けるという設定が可能になったのですね。いやあ、面白かった。「チャーリーとチョコレート工場」と似てる部分もあるんですが、トータルではやはりテリー・ギリアムのキッチュでサイケでおバカな世界ですから、
ファンは十二分に楽しめるはずです。男優4人が入り乱れる様も面白かったですが、娘役のモデルのリリー・コールが超可愛くて超巨乳なのと、いまだに超元気なトム・ウェイツのあの声が、僕には一番の見所でしたね。エンド・ロールも凝っていて。森の中にカメラが入っていくと上から下から左右から木の看板が現れて、そこにキャスト・スタッフの名前が、というアナログで楽しい趣向でした。もっと驚いたのがその後。(以下ネタばれ)
すべてのクレジットが終わって、スクリーンが真っ黒になってちょっと縦に線が入った感じになるんですが照明は点かないんです。すると映画館のどこかで小さな携帯の着信音が。それが、少しずつ大きくなりながら映画館のあちらこちらから聞こえて、さらには少しずつ小さくなって消えていく…。この着信音、映画の中でヒース・レジャー演じるトニーが持ってた携帯の着信音なんですね。きっと、ヒースは世界中の映画館のどこかにいるんだよ、って。しゃれたお別れの演出でしたね。そうそう、この着信音は
公式サイトでダウンロードできますよ。