まあ見とかなきゃ、ということで宮崎駿監督の新作「ハウルの動く城」をカップルだらけの映画館で鑑賞。前評判では木村拓哉のアフレコに難ありみたいに言われていたけれど、そんなことはない。全体的に優しい口調のハウルにキムタクがうまく合っていた。彼の顔が浮かんでくることもなく違和感なく見ることが出来た。それに比べて倍賞千恵子が10代の女の子と70代の老人をしゃべり分ける方が無理があって、どうしても年老いた「さくら」の顔が浮かんでしまって困ったというのが僕の場合。前作「千と千尋の神隠し」が明らかにダークサイド側である異世界での冒険を描いて秀逸だったのに比べると、ちょっとテーマが見えにくくて、焦点の置き所のない作品だったな。魔法使いがいながら蒸気や人力による飛行機や飛行船、自動車が走り回る中世ヨーロッパのような世界も単なるファンタジーで片付けるには、設定が中途半端だし、戦争反対を訴えるというにはそのメッセージ性も薄い。たぶん宮崎監督は、あの動く城をアニメで表現したかっただけなのかな、と僕は感じた。もちろん細部に見るべき表現も多いし、脇キャラクターもよく考えられているのだが、「千と千尋」と比べてしまうと食い足りないのだなあ。音楽的にも似ているので、損をしているよなあ。